2023年8月現在、繁華街におけるドコモ系回線の通信不良が話題になっています。
ドコモからは8月までの改善を春頃に発表していますが、実態として駅のホームなど、滞留する人数が多い場所ではデータ通信ができなくなる場所が今も存在しているのが実態かと思われます。
私も格安SIMのドコモ系回線での体感ですが、平日お昼のコンビニ店内で全く通信ができない状態がありました。
以前であれば、かなり低速にはなってしまうものの通信がおこなえる状態ではありましたので、ドコモ系回線に何かしらの不具合が発生しているのは確実かと思われます。
元よりメインスマホ、ナビ専用サブスマホ、実家の固定回線代わりのテザリングスマホと、複数台のスマホを所持して運用していましたが、今回のドコモ系回線の通信不良を機に、契約している普段持ち歩いているメインスマホとナビ専用サブスマホの携帯回線を大手3キャリア系の通話付き回線で1回線づつ契約し、それぞれの回線のメリットを享受するとともに、災害や通信障害等のいざという時のバックアップ体制を取れるようにしてみました。
繁華街におけるドコモ回線の通信不良について
総務省資料における2022年12月末のドコモ系移動系通信のシェア率はMNO(ドコモ本体・ahamo等)で36.1%、MVNOが5.6%。足し合わせると41.6%と、KDDI系の30.4%(沖縄セルラー・UQコミュニケーションズを含む)、ソフトバンク系の25.6%、楽天モバイルの2.2%など、他キャリアと比べてもドコモ系のユーザー数が多いことが分かります。(以下のリンク先の資料2 通信市場の動向についてより抜粋)
春にドコモからの発表説明があったようにトラフィックの増大、再開発によるエリア変動、4G転用でない5G基地局設置場所交渉の難航、特定の周波数帯のひっ迫等は現実としてあるのかもしれませんが、KDDIとソフトバンクにおいても置かれている状況は同じかと思われ、単純なユーザー数の増加もMVNOへの卸を行うにあたり、予想できないという事は無いかと思われます。
一説にはドコモ回線における「Massive MIMO」の導入遅れがその一因となっているのではないか、との情報もあります。
ドコモ自身、5Gにおいての「Massive MIMO」の導入は進められていますが、4Gについては保留状態として、通信不良については別の方法で対応を進めている状況です。
5Gの普及について各キャリアが順次対応を進め、2022年度末の5G人口カバー率は96%を達成していますが、実態としての5G利用のモバイルトラフィックは2022年3月の時点でミリ波、Sub6、4G基地局からの転用5Gを含めても3~4%しか利用されておらず、5G対応スマホの問題やミリ波の電波特性、利用者側のニーズが追い付いていないのが実態かと思います。
このような状況でドコモが現在の通信不良を改善するには、増大するトラフィックを逃がすための5G基地局整備の加速や、4Gの特定周波数帯へのトラフィックの集中を避けるエリアチューニングを地道に行っていくしか方法が現実的かと思われます。
目標とする2023年8月にそれが完了すればまだ良かったのですが、集中対応が必要なエリア以外でも同様の現象は散発しており、それぞれの利用エリアで対応が完了するタイミングは異なってくることを考えると、ドコモ回線のイメージとしてのつながりやすさは、以前ほど体感できない状況がこれからも続くと考えられます。
基地局数における各キャリアの強み
大手4キャリアは通信における様々な品質が異なっており、それぞれの特色をまとめてみます。
・各キャリアの基地局数(2022年末) ※各基地局数の1位を赤太字で記載しています
▼3G基地局数
ドコモ 145,025(2026年3月31日停波)
KDDI 47,099(2022年3月31日停波済み)
ソフトバンク 111,605(2024年1月31日停波)
※楽天モバイルは3G基地局を設置していない
▼4G基地局数
ドコモ 259,536
KDDI 196,101
ソフトバンク 171,940
楽天モバイル 44,866
▼5G基地局数
ドコモ 19,716(ミリ波 3,140\Sub6 16,573\ローバンド・ミッドバンド 3)
KDDI 18,041(ミリ波 2,328\Sub6 5,663\ローバンド・ミッドバンド 10,050)
ソフトバンク 39,051(ミリ波 2,265\Sub6 2,542\ローバンド・ミッドバンド 34,244)
楽天モバイル 11,238(ミリ波 5,485\Sub6 5,753)
以下の総務省資料より引用 令和4年度 携帯電話及び全国BWAに係る電波の利用状況調査の調査結果の概要について
ドコモ回線
ドコモ回線は密集地域での通信不良がありますが、3G、4G基地局数の数に圧倒的な強みがあります。
現に、都市部から離れた郊外や、人の立ち入りが少ない山間部や登山道、沿岸海上におけるカバーエリアは目を見張るものがあります。
今回のドコモ回線の問題は、あくまで都市部などの人口密集地での問題のため、もとより郊外などではイベント開催などで一時的に人口密度が上がらない限りは問題になっている事自体を知らないという方も多いと思います。
KDDI回線
現状、基地局数からはこれといった特徴が無いのがKDDI回線でしょうか。
3G基地局については既に2022年3月31日に停波済みとなっており、4G、5G基地局のみ電波発射がされている状況です。
4G基地局数はドコモに続いて2位に位置しており、5G基地局数もローバンド・ミッドバンド 基地局数がソフトバンクほどでは無いですが、半分以上を占めている状況です。
今後、3G基地局の転用が進めば勢力図の変化はあるかもしれません。
ソフトバンク回線
ソフトバンク回線の特色として5G基地局数の多さがあげられますが、これは4G基地局を転用した低周波数帯のローバンド・ミッドバンド5Gで数を稼いでいる状態です。
Sub6やミリ波といった高周波数帯の5G基地局数は他キャリアに数で負けている状態です。
ですが、低周波数帯のローバンド・ミッドバンド5Gにも良い点はあり、Sub6やミリ波ほどの高速大容量通信は望めませんが、障害物に関する耐性や、通信距離において有利な点があります。
今後、Sub6やミリ波基地局数が増加していき、スムーズなハンドオーバーが実現できれば、4G通信との切り替えによる不安定な通信環境を避けられる狙いもあると思われます。
楽天モバイル回線
楽天モバイル回線の特色としては5Gのミリ波基地局数が大手4キャリア中トップである事でしょうか。
利用者数も大手4キャリアの中で少ないのもあり、建物の中などで通信が安定するプラチナバンドもまだ保有できてはいませんが、電波を掴むことができる決まった個所での利用であれば高速通信が期待できます。
3G通信の利用について
2023年になって3G通信を使うケースはあまり無いかと思いますが、いまだにドコモ、もしくはソフトバンクを契約されている方で、3G電波しかカバーできない僻地や登山道、キャンプ場に足を踏み入れる機会のある方は、auから発売されたiPhone以外(SIMフリー、ドコモ、ソフトバンク)で、iPhone11以下の4G対応機種であれば設定で「3G通信」に固定することができます。
「設定」→「モバイル通信」→「SIM」のリストから対象の通信回線を選択→「音声通話とデータ」→「4G」と「3G」が選択でき、「3G」に設定すると「3G通信」に固定できます。
2023年8月現在で発売済みのiPhone12以上の機種でも3G通信に対応はしていますが、3G通信に固定することはできないようです。また、5G対応機種でドコモの5G契約を行っている場合は「3G」通信自体ができないそうです。
3Gサービス自体、ドコモは2026年3月31日、ソフトバンクは2024年1月31日に停波が決定しており、使用できる機会も残り少ない状況です。(KDDIは停波済み)
各キャリアの強みを生かすには
エリア別の強み
前述の通り、現状ドコモ回線は人口密集地における通信不良を抱えており、都市部での利用で一時的に通信できなくなってしまう事があります。しかし、ドコモ回線は山間部や沿岸海上部でカバーエリアに強みがあり、郊外での利用は問題ない場合が多いでしょう。
一方、それ以外のKDDI、ソフトバンクにおいては都市部での利用は問題なく利用できる状態です。楽天モバイルはプラチナバンドでの通信が行えるようになるまで、移動を伴う利用では、特定の建物内での利用が難しい箇所も出てくるかもしれません。
特色あるプラン
楽天モバイルを除く各3大キャリアはメインブランドとは別にオンライン専用のサブブランドを用意しており、いずれも安価にメインブランドの通信速度に準じた通信が可能となっています。
ドコモ系はahamo、irumo、eximoと利用データ量に応じたブランドを用意していますが、小容量向けの強みはMVNOとのすみ分けがあるため、ドコモ光やdカードといった周辺サービスとの組み合わせが無ければ、あまり良い選択肢とはなりにくいと思います。
KDDI系のpovo2.0は基本料金が0円で、必要に応じてトッピングを課金したうえで利用する他にない利用形態です。
ソフトバンク系のLINEMOは月3GBで990円というMVNO並みの料金設定ながら通信速度はソフトバンクメインブランドと遜色無い速度を誇っています。
楽天モバイルはサブブランドを持っていませんが、メインブランドのプランが一つのみで、小容量帯から無制限ユーザーまでカバーした従量課金制プランを用意しており、シンプルながらバランスの良い立ち位置かと思います。
利用スタイルによって合わせる
各々の利用スタイルによってバランスをとる必要はありますが、私の利用環境は以下の通りです。
・自宅や実家に光回線や無制限モバイル回線を契約しており、在宅中はWi-Fi利用で携帯回線の通信容量は使用しない
・仕事や外出先は都市部が中心で、動画視聴やアプリのダウンロードは行わず、基本的にはLINEやウェブ閲覧、X(Twitter)等のテキストベースの通信しか行わないため、小容量帯のプラン、もしくは中容量プランで事足りる
・休日はツーリングでスマホナビを利用する。ツーリングは基本的には都市部ではなく、郊外や山間部、沿岸部を走行する事が多い。
・スマートフォンはメインスマホと休日のツーリングナビ専用スマホを分けて利用しており、どちらのスマホも物理SIMとeSIMの同時利用ができる機種である。
スマホ別の契約キャリア
以上の各キャリアの強みを生かしつつ、利用スタイルを踏まえて以下のように契約をしてみました。
メインスマホ
メインスマホは普段利用するスマホなので高速通信を求められます。また、都市部に居住しているため、場合によって混雑する場所で通信を行うことがあります。
主回線 povo2.0(KDDI系回線)
主回線としてKDDIのpovo2.0を以前から契約しています。基本使用料が0円で、必要なタイミングのみ課金利用をすればKDDIのメインブランドであるauとほぼ同等の回線速度で利用できる事が強みです。
普段のデータ通信は副回線の3GBを利用しますが、もし3GBを使い切ってしまったとしてもpovoでのトッピングで引き続き高速なデータ通信が可能となっています。
またpovoのデータ通信トッピングは容量別に使用期限が決まっていますが、他のプランで追加データを購入した場合は、データ容量の繰越ができるプランを除けば、往々にして購入した月内のみ有効なものが多いです。
しかし、povo 2.0においては有効期限内であれば、月を跨いでも追加データ容量が消えることなく、月を跨いで副回線のデータ容量が復活した後でも、先行してpovoでトッピングしたデータ容量を無駄なく使い切ることができます。
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また、開通30日以内に「データ追加(1GB)〜(150GB)」のいずれかのトッピングを行うと、容量に応じて最大5回分の「データ使い放題(24時間)」のプロモコードが貰えるそうです。詳細はこちらのページを確認してみてください。
副回線 LINEMO ミニプラン(3GB)(ソフトバンク系回線)
副回線としてLINEMO ミニプラン(3GB)を契約しました。
以前はメインスマホの副回線としてIIJmilのギガプランで、データeSIMの2GBを契約していました。
しかし、IIJmioのデータeSIMはドコモ網以外の選択肢は(執筆時点では)用意されていないため、都市部で利用するには例の通信不良の影響もあり、主に利用するメインスマホのデータプランには向かない回線となってしまいました。(音声eSIMであればドコモ網もしくはau網を選べます)
そこで、3大キャリアの通信速度と同等で、通信容量が3GBで税込990円と安価なオンライン専用プランであるLINEMOのミニプランに変更いたしました。
IIJmioのデータeSIMはデータ専用回線でしたが、LINEMOに変更したことで音声通話付き回線となり、バックアップの通話手段としても用意できるようなりました。
格安SIMの平日昼時間帯はかなり回線速度が低下するため、4G通信時で回線速度測定を行うと下り5Mbps以下に低下していましたが、LINEMOでは下り20Mbps以上、調子が良いと下り100Mbpsの高速通信が可能となりました。
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ナビ専用サブスマホ
ナビ専用サブスマホは、主に休日のツーリングで利用するスマホです。利用するのは主に郊外となり、そこまでの通信速度、通信容量は求める必要がありません。
日本通信 合理的シンプル290プラン(ドコモ系回線)
平日はほとんど利用しませんが、ナビ専用サブスマホには日本通信の合理的シンプル290プランのeSIMを利用しています。
基本通信容量としては1GBと低容量ですが、追加容量1GBに付き220円で追加が可能です。
ドコモ系回線なので都市部での利用には不安が残りますが、郊外や山間部、沿岸部のドライブコースではドコモが誇るカバー範囲を活用し、十二分に生かせる環境となります。
また、日本通信はMVNOであるものの、高品質な音質で通話ができるVoLTEに対応しています。
通話料も大手キャリアの半額である30秒/11円で利用できるので、通話回線としても優秀なプランです。
また、月あたりのナビの利用回数によって1GBを超える事もあるかと思われますが、データ通信容量は使った分のみ1GBあたり+220円となり、使い過ぎを抑えるための上限設定をしたうえで自動チャージとなり、1GBごとのチャージする手間もありません。
ナビ専用スマホの格安SIMは何が最適なのかは以下の記事でも比較検討をしています。
利用料金
以上の回線プランの最低利用料金をまとめると以下の通りになります。
▼プラン別、毎月料金
・povo 2.0 月あたり37円
※契約保持のため180日に一回、最安トッピング220円を購入し、月あたりでは37円として計算
・LINEMO 毎月990円
・日本通信 合理的シンプル290プラン 毎月290円
▼3回線合計 月々1317円
※別途、電話リレーサービス料、ユニバーサールサービス料がLINEMOと合理的シンプル290プランの2回線分の支払いがあります。
以上の契約で、au・softbank・docomoという大手3キャリア系の通話回線を重複することなく揃えることができました。
この料金はあくまで最低料金なので、実際に使用すると電話通話やpovo 2.0、日本通信のプランでの課金等もあり、2000円程となる月もありますが、それでも大手3キャリア系の回線で2000円前後に収められているのは、ひと昔前では考えられない料金です。
また、執筆時点ではLINEMOは契約から7か月目まで5分以内の国内通話定額オプションが無料となるキャンペーンを行っています。5分以上の通話では料金がかかってしまいますが、5分以内で済む通話は無料で済ませることができます。
このキャンペーンが終わった後であれば日本通信の通話プランが大手キャリアの半額の通話料で利用でき、毎月70分無料通話オプションが700円、通話かけ放題オプションは1600円で利用できます。
私はナビ専用スマホを用意しているのでこのような構成ですが、一つのスマホに3回線を導入できるスマホも一部あります。物理SIM2回線+eSIM1回線や、物理SIM1回線+eSIM2回線など様々ですが、着信の待ち受けやデータ通信ができるのは3回線のうちの2回線のみだったり、スマホによって仕様が変わるので確認の上、検討しましょう。
楽天モバイル回線を生かすには
楽天モバイル回線は、どうしても建物内等のプラチナバンドでしか電波が届かない場所においては厳しい点があります。
KDDIのローミングエリアもあるため、全てのエリアがそうとは限りませんが、楽天モバイル回線には別の強みがあるかと思います。
楽天モバイル回線は一つのプランで少容量から大容量、無制限までカバーをしています。
特に、無制限部分においては他のキャリアの無制限プランで実施されている一日あたりの通信容量制限も無く、動画視聴やゲームのダウンロード等の大容量通信を行い続けても特に制限を受ける事例はあまり聞きません。
通信速度の差はあれど安定した電波環境さえ特定できれば、下り50Mbpsほどの固定回線のような使い方ができます。
そういった点を利用し、私が契約していた実家の光回線を解約して楽天モバイル回線に変更した記事を書いています。
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