すでに一か月半ほど前から始まっていますが、楽天モバイルが唯一の料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VII」(6/1からは「最強プラン」)と、5Gスマホ「Rakuten Hand 5G」またはモバイルルーター「Rakuten WiFi Pocket 2C」をセットで申し込むと、スマホ・モバイルルーターの本体価格が1円となるキャンペーンをこの記事を作成している6月初頭も継続しています。
途中、購入台数制限や人気色の一時的な品切れ等もありましたが、現在もすべてのカラーバリエーションが販売中のため、いつ終わるのか予想できないキャンペーンです。
(8/16追記)少しづつ品切れのカラーも出てきました。そろそろ終了かも?
(11/27追記)遂に「Rakuten Hand 5G」がキャンペーン対象外になり、正式に終了となりました。合わせて「Rakuten Hand 5G」自体の販売も終了となりました。
しかも、このキャンペーンのすごいところが、すでに楽天モバイル回線を契約している方も対象になるとのこと。(大抵こういったキャンペーンは新規契約者のみが対象だったり)
元々、楽天モバイルの0円プランの時から実家の固定回線の代わりに継続して契約しており、このキャンペーンを利用してモバイルホームネットワーク環境を5G化したのでまとめてみました。
- 楽天モバイル回線利用方法の遍歴
- 使用場所が5Gエリアの範囲に
- 環境整備にあたって
- 5G環境での速度検証
- 連続使用におけるバッテリー寿命問題
- 給電が止まるとイーサネットテザリングが強制停止する
- 良かった点・イマイチな点
- 総合的には大満足
楽天モバイル回線利用方法の遍歴
当初は普通に持ち歩くスマホで利用してみました。
ですが、持ち歩くスマホに導入するとすぐに不都合が分かり、症状としては電波が入らなかったり不安定になるエリアがあり、持ち歩くスマホの回線としては選択肢から外れる形になりました。
その後、実家の固定光回線を見直すタイミングになってきてこの楽天モバイル回線が選択肢となってきました。
主に両親が利用するため、毎月の使用量は変動し、ほとんど使わなければ安価になる。
必要とする回線速度も高速である必要はなく、持ち歩くこともないので家の中で電波が安定する定位置が確保できれば固定回線の代わりとして利用することもできます。
そこで富士ソフトのモバイルルーター「+F FS030W」にSIMカードを刺して2年ほど固定回線代わりに利用してきました。
たまに電波を掴まなくなってしまうこともありましたが、電源を入れなおせば復活するため、特段問題とせずに2年間ほど使用していました。(先日、5G対応の新型ルーターも発売されてラインナップとしては3機種になりました)
使用場所が5Gエリアの範囲に
両親のネット利用頻度も少し増えてきたのか、5G通信ができれば、さらに快適に利用できそうな場面も出てきました。私自身が実家で仕事をするタイミングがたまにあるため、という背景もありますが。
ですが、新たに5G対応端末を購入してまでの不満というわけでも無いので、新たな環境構築は見送っていました。が、先述のキャンペーンが発表されて予想外にも5G端末を1円で購入できる事になり、導入してみました。
環境整備にあたって
端末購入にあたり、1回線契約が増える事になりますが、元の契約で電話回線としての利用はほとんど無く、解約して連絡が途絶えてしまう等の不都合は無いため、解約することにします。3年間継続して利用していたため問題ないでしょう。
日々使用しているデータ回線のため空白期間は作りたくなかったのと、楽天モバイルは用意されている料金プランが従量制のみとなっているため、契約・解約時の料金は日割り請求とならないようです。(記事作成時では、かけ放題を除くオプションサービスは日割り請求の対象のようで、解約月のユニバーサルサービス料および電話リレーサービス料は発生しないとのこと)
なので月末月初を狙って切り替える方法もありますが、申し込みが集中して失敗に終わることも予想できたため、そこは無理せずに両回線とも最大1か月間は重複して契約する形にしました。
また、実家には有線LANで接続する機器もあるため、モバイルルーターと無線LANルーター(ルーター機能はオフにしてアクセスポイントとして運用)を下記の商品で有線接続・給電しています。
リンク
本来はFire TV Stickのネット接続を安定させることを目的とした有線接続アダプターですが、「+F FS030W」は接続端子がmicro-USBのため、このイーサネットアダプターを使って有線接続と給電ができます。
専用クレードルも富士ソフトから販売されていますが、こちらは定価で4800円程と割高のため、1800円程で変わらない動作をしてくれるこのアダプターを利用しています。
ですが、「Rakuten Hand 5G」の接続端子はUSB-Cのため、このアダプターは流用できず、新しいアダプターを探す必要があります。
USB-CからLANケーブル用のRJ45端子に変換でき、かつ端末の給電用の端子も用意されているアダプターは、中華メーカー品も含めてAmazonにもそれなりの数が出回っていますが、安価すぎるものは信頼のおける製品か判断に迷うところもあり、同様の使い方のレビューが確認できたこちらの製品にしました。
「GOPPA」というメーカの製品ですが、日本国内でアイ・オー・データ機器から独立した方が出身の家族経営メーカーのようです。
量販店で購入した商品のサポートもアイ・オー・データが窓口となっているため、ノーブランド品を買うより良いかと思いました。
東洋経済に経営者の方についての記事がありましたが、スマホケースで有名な「レイ・アウト」もこの方の会社だったようです。よく購入してるスマホケースメーカーでした。
ただし、この製品の仕様としては「※本商品は、Androidスマホ、もしくはモバイルルータのクレードルとしての動作は保証しておりません。」との記載があり、機種によっては使用できなかったAmazonレビューもあるようです。
アダプターを刺してつなぐだけ、と比べると難易度は上がりますが、以下のようなトラベルルーターを導入し、諸々の設定も含めて構築する方法もあります。導入している方のブログ記事なども探せば出てきます。
設定ができる方は検討してみてもいいかもしれません(USBテザリングとなるのでandroid10等でも使えます)
以上、端末購入費用、1か月間の最低プラン料金、充電・有線接続用のアダプターの購入費用も全てまとめると、以下の金額となりました。
■「Rakuten Hand 5G」端末購入代金:1円
■「Rakuten UN-LIMIT VII」最低基本料金1か月分:1078円
■「GP-CR45H/B」Type-C接続 充電対応有線LANアダプター購入代金:2970円
合計:4049円
モバイルホームネットワークを5G環境に進化させるにはあまりにも安すぎる気もしますが、気にせず検証していきます。
5G環境での速度検証
今回の環境で「Rakuten Hand 5G」の有線テザリングを行うには、android11以降で提供が開始された「イーサネットテザリング」を利用します。
ちなみに旧「Rakuten Hand」はandroid10でセキュリティアップデートを除いてメジャーアップデートは提供されていないので「イーサネットテザリング」は出来ないようです。(Wi-Fi、Bluetooth、USBテザリングはできます)
LANケーブル、USB-Cケーブルと各機器をつなぐだけの簡単な手順で構築が完了し、速度検証をしてみます。参考に簡単な環境図を示しておきます。
まずは切替前の「+F FS030W」使用時の回線速度測定です。
速度測定は有線環境末端のPCで行っています。
おおよそ下り10~25Mbps、上り35Mbpsぐらいが平均的な速度といったところですかね。(5回ほど測定した最低値と最高値です)
測定時間は夜21時以降ですが、使用場所が住宅街という事もあって朝や昼のピークタイムもそこまでの変動はない傾向です。
続いて切替後の「Rakuten Hand 5G」を使用時の回線速度測定です。
おおよそ下り25~45Mbpsと開きがありますが、多少高速化はできていますね。下りはそこまで変わらずですかね。
ただ、回線速度測定時に5G通信は出来ていないようでした。
というのもモバイルデータ通信をONにした直後は5Gの電波を掴んでいるようですが、実際に通信が始まると早々に4Gに切り替わって通信をしています。
窓際と言えど、屋内で5Gエリアの端のため、安定的な通信ができるほどの5G電波はつかめていないようです。
ちなみに、「Rakuten Hand 5G」単体で持ち出して、5G基地局のSub6エリア内でアンテナに正対した状態で回線速度を計ってみると、下り230Mbps程の速度が出ているので、端末の異常などは無さそうです。(「Rakuten Hand 5G」はミリ派に対応していないですが、Sub6でもここまで出るんですね)
こればっかりは楽天モバイルが置かれている状況としてはしょうがないところですね。プラチナバンド獲得後の整備に期待しましょう。
「4G」から「5G」への進化、は「思ったとおり」とはいきませんでしたが、回線速度の多少の高速化は果たせましたのでヨシとしましょう。体感、動画の読み込み等が少し早くなった感覚はあります。
連続使用におけるバッテリー寿命問題
いままでのモバイルルーター「+F FS030W」独自の機能として、バッテリーレスの給電連続運用が可能でした。
リチウムイオンバッテリーは使い方によって劣化が早まるバッテリーです。満充電の状態で使用しつつ、絶えず充電をするという使い方は寿命を縮める原因にもなります。
「+F FS030W」はUSB給電時にバッテリーを使用せずに運用することも可能なので、バッテリーの寿命を悪化させる事なく、連続使用ができます。(定期的にバッテリーを充電をして過放電を防ぐのも必要ですが)
一方、「Rakuten Hand 5G」はバッテリーを取り外すことはできないため、給電のみの運用はできません。
固定回線代わりに利用する、という事は連続給電は必須です。ですが、満充電状態で常に給電をし続けるのはバッテリーの寿命を縮めてしまうので、回避したいところです。
現在のスマホ自体に過充電を保護する機能はあるので、ある程度は問題ありませんが、機種によってどのように保護するのかはメーカー次第のところがありそうです。
給電を一時的に止めるといった意味だと、以下のような製品を使用すると給電時間を管理できます。
給電が止まるとイーサネットテザリングが強制停止する
コンセントタイマーを使用する前の検証として、イーサネットテザリング中にLANケーブルの接続したままでで給電を止めてみたところ、イーサネットテザリングが強制的にオフとなりました。
色々と調べてみましたが、この挙動がandroidOS自体の挙動なのか、この有線アダプタに起因する挙動なのかは分かりませんでしたが、Amazonで同様の挙動が発生しているとのレビューは見つけることができました。
(6/10追記)「Rakuten Hand 5G」以外の端末でも同様の挙動が発生することがあるため、androidOS自体の挙動の可能性はありそうです。
(8/4追記)有線LANアダプターにもICチップ等の給電が必要な部品は搭載されていると考えると、給電停止時にAC側からスマホ側へ給電がシームレスに切り替わるような製品でないとイーサネットテザリングが止まってしまうのかもしれません。
コンセントタイマーを使わないと運用ができない、というわけではないため、コンセントタイマーを使ったバッテリーの長寿命化は諦め、別の方法を模索してみることにしました。
どうしようか思案してたところ「Rakuten Hand 5G」は長時間連続で給電を行うとバッテリー保護のため、満充電状態を保持しない制御が入っているようです。
2022年02月15日
内蔵電池の寿命を長くするため、下記の場合には、電池残量を概ね50%から70%の間に維持するように充電制御の仕様を変更。
①電池温度が45℃以上の場合
②18時間を超えて、充電器接続している場合
(連続待受時間、連続通信時間には影響なし)
リンク先は旧「Rakuten Hand」のアップデート内容ですが、同様の制御が「Rakuten Hand 5G」でも行われているようです。
普通にスマートフォンとして利用する方にとっては少し不便な仕様かもしれませんが、長時間充電した状態で運用する方にとってはコンセントタイマーを使わずともバッテリーを労わってくれる仕様となっており、特に何か対策をすることなくこの運用で様子を見てみようと思います。
今のところ以前と変わりなく利用している中で「Rakuten Hand 5G」や有線アダプターにも不安定な動作や、異常な発熱等はみられないです。
(6/10追記)連続充電がどのような挙動となるのか気になっていましたが、3日間ほど運用も行いつつ連続充電をしたところ、バッテリー容量は以下のグラフとなりました。
100%の状態から充電がストップし、50%近くまでバッテリーが消費されたのち、70%まで充電したらその状態をキープするようなグラフとなりました。
3日間に間にもイーサネットテザリングの機能は使用しており、使用状況によって変動するものと考えていましたが、常に70%をキープし続けており、使用状況に即応した充電が行われているようです。
ただし、長時間充電されている事を認識した時の警告の「この期間中に表示されるバッテリーレベルは不正確である可能性があり、後で回復します。」のとおり、参考程度にとどめておいた方が良いかもしれません。
(8/4追記)コメント欄にて「充電が止まってしまう」という方からのコメントがありましたので私のケースでの回答を引用します。
ネット接続がいきなり不調になったと思ったらRakuten Hand 5Gの電源が切れており、画面中央に充電中のアニメーションが表示されて、充電中を意味する赤いLEDが点灯しているケースがこの2か月で2~3回ほどありました。
その後、電源ボタン長押しで起動したところ、0%で電源が落ちて再充電が始まっているような感じでした。(給電関係のケーブルは接続したままで再接続などはしていないです)
特に再現性が無いのと、そこまでの高頻度でもないので現状は気にしていませんが、バッテリー保護状態の「バッテリーレベルは不正確である可能性があり~」との説明通りに、じわじわとバッテリーが消費されているのかと勝手に予想しています。
※じわじわとバッテリーが消費されている=画面上のバッテリー残量表示は残量に余裕があるように見えているものの、内部的にはバッテリー残量が少しづつ消費されつづけている?という予想です。
良かった点・イマイチな点
以上、1円で購入した5Gスマホで楽天モバイル回線の5G化を行ってみました。
結果的に5Gでの実質的な通信はできていませんが、それ以外でもうれしい点があります。
回線速度の向上
まず、回線速度自体の高速化が行えたことです。
「+F FS030W」と「Rakuten Hand 5G」の通信速度仕様を比較してみると以下の通り
・+F FS030W
LTE 受信時最大 150Mbps/送信時最大 50Mbps
3G 受信時最大 42Mbps/送信時最大 5.76Mbps・Rakuten Hand 5G
LTE 受信時 400Mbps/LTE 送信時 102Mbps
Sub6 受信時 2,200Mbps/Sub6 送信時 142Mbps※以下のリンク先より引用し、一部編集
スペック的な余裕だったり、筐体の大きさからアンテナサイズなども変わるので、それが反映された回線速度かと思われます。(「+F FS030W」は2016年発売、「Rakuten Hand 5G」は2022年発売なので当たり前と言えばそうですが)
今後、5Gエリアが広がることで更なる高速化にも期待できます。
無料通話の「Rakuten Link」がそのまま使える
モバイルルーターに楽天モバイル回線のSIMを挿入して使用すると、楽天の通話アプリ「Rakuten Link」が使えないという問題があります。(調べると色々工夫をすれば使えるようですが、公式に認めている方法とはならないので微妙なところ…)
一方、今回の方法であれば普通に使用できます。有線アダプターを接続したままにする必要があるため設置場所から通話したままの移動はできませんが、スマホとしての機能が使えないわけではないので色々な工夫をせずに使用できます。
メインで使用しているスマートフォンで使用するとなるとやはり工夫が必要ですが…
ただ、PC版「Rakuten Link」がリリースされたら人によっては全て解決する問題ではあります。
(8/4追記)PC版「Rakuten Link」がリリースされ、この環境で試してみたところ、無事利用することができました。
利用にあたり、同一LAN内にPC版「Rakuten Link」を利用するPCと楽天モバイル回線を利用しているスマホのどちらも存在する必要があるようです。
コメントをいただきましたので私の環境での回答を引用いたします。
(PC版「Rakuten Link」を利用するPCと楽天モバイル回線を利用しているスマホが)同一LAN内であれば無線でも有線でも問題無いようです。
私のケースでは記事中の環境図で「BUFFALO AP」として無線LANルーターを挟んでいますが
ルーターモードではなくAPモードで運用しているので同一LAN内と認識され、
LANケーブルで有線接続されている末端のPCから発信と着信を試し、両方向で問題なく通話できました。PC版「Rakuten Link」のログイン時にスマホ版「Rakuten Link」のアプリ内からPC画面に表示されたQRコードを読みまなくてはならないのですが、
最初、ピントが合わずに苦労し、Rakuten Hand 5Gを再起動したらピントが合うようになりました。(こちらの方が苦労しました)
その後、PC版「Rakuten Link」からの初回発信時に同一ネットワーク内なのかの確認が入り、その後発信しました。
android端末が1円で所持できる
私が初めて所持したスマホは「iPhone3G」でしたが、一時期メインスマホを「Xperia Z3 Compact」に乗り換えていた時期がありました。(スマホケースやフィルムの購入履歴を見ると2015年頃のようです)
ですが、スキー場で誤って落とした際に画面にヒビが入り、最初は効いていたタッチパネルが次の瞬間には全く効かなくなってしまいました…
その後はXperia買い替え後も残しておいたiPhoneに出戻ることになりました…
その後は画面が割れてもタッチができるiPhoneに戻り、ずーっと使い続けていました。(今のところフィルムとケースで保護しており割れた事はないですが…)
なので久々のandroid端末を入手できたので色々と遊ぶこともできるかな、と期待しています。OSのアップデートは期待できないのでアプリなどの対応がある今のうちだけですが。
一部ドコモ系の音声eSIMが対応していない等の問題も多少ありますが、ダブルeSIM端末として面白い機種だと思います。
モバイルルーターとして常用するには少し不安も
スマホをモバイルルーターとして使っている形のため、バッテリーの寿命の問題など、使い続けていくとどのような症状が出てくるかは多少不安な部分もあります。
「Rakuten Hand 5G」は中国のODMスマホメーカー「Tinno Mobile」というメーカーが製造しており、「Rakuten mini」も同じメーカー製造していたようです。
ほかにも日本では「トーンモバイル」ブランドのスマホも製造しており、自社の「Wiko」ブランドで展開していた日本におけるスマホ販売とサポートは現在は行っていないようです。
こういった背景もあるのでハードウェアとしての完成度は一流メーカーと比べると、ある日突然動かなくなる、という事は無いにせよ何かしらの不具合が出てくることは想定しておいても良いと思います。(1円で購入している端末なので壊れても文句はありませんが…)
総合的には大満足
今後、利用期間が延びたら何かしらの変化はあるかもしれませんが、現時点では大満足な結果となりました。
楽天モバイル自体の苦しい情勢は日々入ってきますが、今後も末永く利用させていただこうと思います。