認知症患者の症状の一つに頻繁に電話をかける症状があります。
不安な感情や心配事があると電話をかけ、その後は電話をかけたこと自体を忘れてしまい、繰り返し頻繁に電話をかけてしまう事もあります。
私の家族にも一人暮らしをしている高齢者がおり、健康面では問題無いものの、短期記憶障害を中心としたアルツハイマー型認知症の症状が出ていました。
私の家から徒歩圏内に住んではいますが、介護できる人間が私一人しかおらず、私が社会人として生活している中で、付きっ切りで介護をするわけにもいかない状況でした。
なるべく一人きりになる時間を減らすよう、デイサービスやヘルパーを少ない回数から初め、少しづつ数を増やしていく計画でしたが、本人の気力や受け入れ拒否などで上手くはいきませんでした。
結果的に、心労などからか不安感が増え、時間帯に関係なく多数の電話が私にかかってくるようになりました。
幸いなことに、本人は老人ホームに入るための金銭面の備えはしっかりしていたため、健康面で問題ないうちに老人ホームに入ることとなりましたが、入居後も電話は変わらない状況でした。
そんな認知症患者からの電話に関して、全ての着信には反応しない、家族からの電話を決まった時間に行うなど様々な対応方法がありますが、私は常日頃からApple Watchを装着しているため時間帯に関わらず全ての着信が手元で分かってしまう状況でした。
これにより深夜帯にかかってきた電話で起こされる事もあり、本当に緊急な電話であれば致し方ありませんが、そうでない事が大半のため、これには堪えました。
最も簡単な方法として就寝中は携帯電話の電源を切ってしまう手段もありますが、全ての番号からの電話を拒否してしまうと、入居している施設からの本当の緊急連絡などが受け取れなくなってしまうため、あまり好ましくありません。
私はスマホにiPhoneを使用しているのですが、iOSに標準で用意されている通知制限機能を使い、特定の電話番号からの着信を時間帯ごとに自動で着信拒否と無通知にする設定ができましたのでその方法をメモしておきます。
認知症患者からの電話で困っている方の一助になれば幸いです。
特定の電話番号からの着信を時間帯ごとに着信拒否する
まず最初に、設定がうまくいくか不安な方は、自宅の電話、相談できる家族や知り合いの電話番号を一旦指定して設定し、上手く機能した場合に「③指定する発信元と不在着信お知らせ機能の送信元を指定する」の追加する連絡先を、本来着信拒否をしたい電話番号に変更すれば同じ動作をします。頑張ってみてください。
①電話帳に着信拒否する電話番号を登録する
既に登録している方が大半だと思いますが、電話帳に着信拒否したい電話番号を登録します。
・登録済の連絡先に複数の電話番号があり、一部を着信拒否したい場合
一つの連絡先に自宅と携帯電話など、複数の電話番号が登録してあり、そのうちの特定の電話番号からの着信のみ拒否したい場合は、拒否したい電話番号のみを別の登録名で電話帳に登録してください。
登録してある全ての電話番号からの着信を拒否したい場合はそのままで大丈夫です。
まずは「連絡先」アプリ、もしくは「電話」アプリの下部メニューの「連絡先」から対象の連絡先を選びます。「編集」を選択して連絡先の編集を行います。
拒否したい電話番号を手元などに控えてから左側の赤いマイナスマークをタッチして右の「削除」をタッチします。
右上の「完了」をタッチし連絡先の編集を完了します。
これ以降は以下の「新しく登録する場合」と同じ手順で控えた電話番号を登録してください。
・新しく登録する場合
「電話」アプリの「キーパッド」から指定する電話番号を入力します。
登録済の電話番号だと登録名が表示されますが、未登録番号だと「番号を追加」と青文字で表示されるのでタッチします。
「新規連絡先を作成」をタッチし、自分で分かるような名称を入力します。
右上の「完了」をタッチし連絡先の編集を完了します。
・不在着信お知らせ機能等を設定している場合
もし、「メッセージ」アプリで受信する「不在着信お知らせ機能」等を設定している場合は以下の電話番号も上記の手順と同様に登録すると、着信時に一切の通知が無くなります。
・au/UQmobile/povo:141
・ソフトバンク:1414
・ドコモ:「Docomo SMS」で受信したメッセージの電話番号を確認してください
設定後も通知は無くなるものの、メッセージ自体は受信しているので、ホーム画面や通知センターで不在着信があった事は確認はできます。
ただし、拒否したい電話番号以外からの不在着信についても、後ほど設定する時間帯には通知が無くなりますので、その点のみご注意ください。
②設定アプリから集中モードを指定する
「設定」アプリの「集中モード」をタッチします。
「集中モード」については、Apple公式サイトからは以下のような説明がされています。
集中モードは、気を散らすものを減らすように範囲を設定できる機能です。特定のアクティビティに集中したい場合は、用意されている集中モードのオプション(「仕事」、「パーソナル」、「睡眠」など)をカスタマイズしたり、カスタム集中モードを作成したりできます。集中モードでは、すべての通知を一時的にオフにするか、特定の通知(例えば、現在実行している作業に関連する通知)だけを許可して、ほかの連絡先やアプリに自分が忙しいと知らせることができます。
ここから先の手順では、最初から用意されている「おやすみモード」を利用して登録していきます。
まず最初に「デバイス間で共有」をオンにしておきます。
Apple WatchやiPadを利用している方で同じApple IDでログインしている別のデバイスで着信を取れる設定にしている場合は同じように着信の通知が来ないようになります。
既に「おやすみモード」で別の通知制限の設定をしている場合は「パーソナル」や右上の「+」より別の集中モードを追加して設定してみてください。
「カスタム」であれば好きな名称を設定できますので「〇〇からの着信を制限」などの名称も設定可能です。
③指定する発信元と不在着信お知らせ機能の送信元を指定する
「おやすみモード」をタッチします。
通知を消音の左側「連絡先」をタッチします。
上の選択肢より「通知を知らせない」を選択します。
下のほうの「通知されない連絡先からの着信を許可」はオフにします。
真ん中の「+」より「拒否したい連絡先」と、必要な方のみ「不在着信お知らせ機能の連絡先」を選び、右上の「完了」をタッチします。
通知を知らせない連絡先が「+」の右に並んだと思います。
不在着信お知らせ機能の送信元も同様に追加した場合は以下のようになります。(私はau系なので141を指定しています)
連絡先を消す必要が出てきた時は、それぞれの連絡先の左上にある「-」をタッチすれば消えます。
左上の「<おやすみモード」をタッチして連絡先設定を抜けます。
④通知オプションを設定する
おやすみモードの設定画面に戻り「オプション」をタッチします。
設定例を以下に示しますが、こちらの設定はそれぞれの好みでカスタマイズしてみてください。
上から順番に
「ロック画面に表示」はオン
「通知バッジを非表示」はオフ
「通知を消音」は「常に知らせない」
「ロック画面を暗くする」はオフ
左上の「<戻る」をタッチして通知オプション設定を抜けます。
⑤スケジュールを設定する
下の「スケジュールを設定」から着信拒否をしたい時間帯を設定します。
「スケジュールを追加」をタッチし「時刻」をタッチします。
開始時間と終了時間をそれぞれ選び、適用する曜日を選択します。
例えば、就寝時間として「21:00~翌7:00」まで着信拒否をしたい場合は「21:00~7:00」を設定します。
各曜日の設定は開始時間の曜日となるので、月曜日のみを選択し、時刻は「21:00~7:00」を設定した場合は「月曜日21:00~火曜日7:00」となります。
設定が完了したら右上の「完了」をタッチします。
別途指定したい時間がある場合は再び「スケジュールを追加」から同様に時刻を指定して追加していってください。
おやすみモード以外の集中モードを利用して設定している場合は「スケジュールを設定」に他のスケジュールが表示されていると場合がありますが、全て「オフ」になっていれば大丈夫です。
⑥設定完了
以上で設定は終わりです。時間になると自動で「集中モード」が開始されます。
設定された時間帯に電話をかけた場合、発信元の方では「話し中」の「ツーツーツー」という音が流れ「相手があたなを着信拒否しています」や「相手の都合によりおつなぎできません」といったメッセージは私の環境では流れないです。
また、設定時間帯は相手からの着信に関するサウンドや振動による通知は無く、画面を付けたり、通知センターを開いたりしない限りは着信が来ていたことは分からないようになっています。
設定どおりに「集中モード」が始まっても着信の通知が来てしまう場合は、③の連絡先「通知を知らせない」「通知を許可」を何回か切り替えてみて、再度「通知を知らせない」に変更してみてください。(実際に私が経験して、これで治りました)
認知症患者との電話の付き合い方
同居していない、もしくは介護する方が社会人で家に居る時間が短い場合の認知症患者の方との付き合い方でよく問題になるのが電話の問題かと思われます。
私自身、どこまで対応すればよいのか、という葛藤もありましたが、周りでサポートしてくれる方からも「ストレスを感じるほど悩んでいるのであれば着信拒否をするのも一つの手だよ。介護疲れでサポートができなくなってしまうのが本人にとっても、介護する側にとっても何よりの不幸」という意見でした。
私は専門家ではないですが、無理せず、自分が付き合える範囲で対応することが何より大事かと思います。
ケアマネージャーさんや入居施設の方も相談に乗ってくれるかと思いますので一人で悩まず、まずは相談してみましょう。