さんしゅみ

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【30代前半】Apple Watchで判明した心房細動を手術で治療した話①入院前編【カテーテルアブレーション】

半年以上前になりますが、Apple Watchを装着中に「心房細動の通知があった話」という記事を投稿しました。

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その後、地元のクリニックを受診して心電図を測定してもらったところ「心房細動(不整脈)」を確認できたので総合病院での紹介状を作成してもらいました。

クリニックから総合病院にその場で連絡していただき、翌日には予約なしで受診して詳細な検査。その後は経過観察となりましたが、結果として約半年後には手術入院を行い、心房細動を手術で治療する経験をしたので、その内容をまとめたいと思います。

ボリュームが多いので今回は手術入院をするまでの経過観察中の入院前編としてお付き合いください。

注意:この記事の内容は筆者の体験談です。実際の医療行為については主治医とよく相談の上、自己判断で行ってください。

①Apple Watchからの通知

2023年6月の日曜日、朝起床した際にApple Watchに「心房細動」の通知が入っていました。

まず聞き覚えのない「心房細動」がどのようなものなのかネットで調べ、不整脈の一種で、心臓を構成する心房と心室の動きが同期せずに不規則な動きを起きていることを指し、放置しておくと心臓内で血の塊ができ、最悪の場合は「脳卒中」や「心不全」といった症状を引き起こすことがある病気とここで初めて知ったと思います。

ただ、「心房細動の疑い」ということで実際のリズムが気になり、手首で脈を計ってみると確かに心拍のリズムが一定でない事が分かりました。

自分自身、心拍のリズムが乱れるという経験が今までなかったので混乱しましたが、緊急性がある症状ではないのでネットでの情報収集を進めました。

その後、日中に椅子に座っている状態でも1件、Apple Watchからの通知がありました。

後から分かりましたが心房細動の状態が続いていて安静状態を保っていると、Apple Watchからは2時間毎ぐらいに通知が来るようです。

この日は心房細動の状態と正常なリズムを示している「洞調律(どうちょうりつ)」が切り替わっていたのだと思います。

とりあえず放置するのも良くないと思い、近場の循環器科クリニックをネットで調べて翌日受診することにしました。

翌日、テレワークで午前中のみ仕事を行い、午後はクリニックでの受診のため午後半休を取得してクリニックに向かいました。

②クリニックで診察・総合病院での詳細検査

午前中のうちにクリニックに電話をして「Apple Watchで心房細動の疑いの通知があった」旨を伝え、受診できるかを確認しておきました。

午後に入りクリニックを受診。心電図を測定してから診察を受けると確かに「心房細動」が認められるとのことでした。

心電図波形のピーク間隔が一定でない=不整脈

詳しく検査をしたほうが良いとのことでクリニックから総合病院に連絡を取ってもらい、翌日に飛び込みで来院してもらって構わないとの回答を得られたので紹介状を書いてもらいました。

翌日、紹介してもらった総合病院で再度心電図の測定を行いました。

ホルター心電図の装着

診察では心電図波形からも「心房細動」が認められるとの事で、より詳細に日常生活の心電図波形を測定するための「ホルター心電図」という、身に着ける心電図測定器を体に取り付け、日常生活の24時間分の心電図を測定しました。

取り付けに当たり、男性で胸毛などがある方は剃っておいた方が測定中にセンサーが取れて測定に失敗する確率が減るので、時間に余裕がある方は剃っていただいた方がいいかもしれません。

もしかしたら装着する時点でスタッフの方が剃ってもいいですか?と聞いて対応してくれるかも。

sk-kumamoto.jp

ホルター装着後に血液検査のための採血も行い、この日は病院を後にしました。

ホルター心電図装着中は「行動記録表」というスマホほどの大きさの二つ折りの記録用紙と以下のようなクリップ付き鉛筆を一緒に渡されます。

ホルター装着時に同時に渡されるので歩行、休憩、食事、トイレ、就寝といった心臓の動きに変化があるタイミングを記録していきます。シャワーや入浴は測定機器の防水性によってできない場合もあるようです。

また、電気毛布や電気カーペットの使用は測定に影響してしまうので控えてほしいとも言われました。

翌日、装着から24時間経過したタイミングでホルター心電図を取り外すため、再度総合病院に来院して外してもらいます。

ホルター心電図の解析には時間がかかるため、一週間後に再度来院して心電図の測定を行います。

実はこの診察までの期間でApple Watchから心房細動の疑いの通知は無くなり、脈のリズムも正常な洞調律に戻っていました。

そのため、診察日に心電図の測定を確認してもらうと、正常な心電図波形が確認できているとの事でした。

血液検査での脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)の値

ただ、総合病院での初診時に測定した心電図と、ホルター心電図では心房細動が確認できており、血液検査でも「脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)」という心不全・心房細動に関連する数値が高く出ていました。

www.hospital.japanpost.jp

お医者さんの見立てでは、現状は「発作性心房細動」という一時的に心房細動が発現し、数時間~数日で洞調律に戻る状態だろうという診断でした。

今後これが発生しなくなる場合もあれば、頻度が増えて「持続性心房細動」や「永続性心房細動」となるかは今後の経過を見ていきましょう、との事でした。

現状、すぐに何か対応しなければいけない、ということではなく安心しました。

ただし、経過観察中でも胸の痛みが継続する場合はすぐに受診してくださいとの事でした。

「心房細動の疑い」通知後の行動について

振り返ってみても通知が来てすぐに医療機関での受診をしておいてよかったと思います。

当時私が装着していたApple Watch SE(第一世代)は心電図測定ができないモデルですが、serise4以降の上位モデルを含めたナンバリングモデルでは心電図センサーが搭載されていて心電図を測定できます。

ですが、医療機関にある心電図測定機器は、Apple Watchでの測定とは測定方法も性能も違うため、Apple Watchの心電図のみでその後の医療計画を立てる事はありません。

クリニックによってはApple Watchの心電図の測定結果をメールやラインで受け付けてアドバイスもします、というクリニックもあります。

ですが、そういったクリニックへの問い合わせで返信を待つより、すぐに行ける近場の循環器科のクリニックで心電図を測定し、本当に心房細動の症状が出ているのか確認し、そうであれば早急に総合病院で詳細な検査をしてもらう方が良いかと思います。

初期の心房細動は一過性で数時間~数日で洞調律に戻ることもあり、そのタイミングを逃してしまうと再発するタイミングをまた待たなければいけない事もあります。

こういったこともあり、心房細動は健康診断などで初期段階での発見が難しい症状とも言われるようです。

心房細動が再発するタイミングが翌週なのか、数か月先なのか、それまで不安な気持ちを持ち続けることにもなります。

Apple Watchでの通知はあくまで入口と考え、詳細な検査や測定を医療機関で迅速に行う事が重要かと思います。

③経過観察中の様子

総合病院での次回の検査は半年後となり、それまでは検脈とApple Watchの通知が心房細動が発生しているか判別する方法となりました。

動悸がする、胸が苦しい、息が切れやすいといった自覚症状が無く、Apple Watchを所持していない方はこれを機会に購入を検討してみても良いかと思います。

家庭でも心電図を測定する

家庭用心電計は各メーカーから様々なものが販売されていますがどでも入手性があまりよくなかったり安価ではありません。レンタルできる医療機関も一部に限られますが、現在はApple Watchの登場で一気に市場が変わったように見えます。

装着していれば自動で定期的に心拍測定をしてくれる手軽さは普段からiPhoneを利用している人であれば別途スマホを用意する手間も無いです。

www.jhf.or.jp

www.businessinsider.jp

執筆時点であればApple WatchのSEを除いたserise4以上のモデルであれば心電図測定ができるので型落ちモデルでも測定には問題無いです。

ただし、機器自体が小型で新品でも電池持ちが最大2~3日ほどしか持たず、バッテリーが消耗している中古品は実用には厳しいことがあるので注意してください。私は夜の入浴から就寝前の時間を利用して充電しています。

私も元々は心電図の測定ができないApple Watch SE(第一世代)を利用していたため、心電図の測定は行えませんでした。ただ、使用開始から3年程が経過してバッテリー持ちも悪くなり、丁度買い替えを検討している時期だったため、型落ちモデルのApple Watch Series 8を購入し、気づいたときには心電図を測定して自分の心拍の状態をチェックするようにしました。

ここから次回の検査の直前まで、Apple Watch心房細動の通知は一回も来ませんでしたが検査の一週間前に「心房細動の疑い」の通知がありました。

約半年間通知が来ていなかったことで、不安な気持ちはほぼ安らいでいましたが、ここにきて通知があったという事でやはり対処をしなければいけないと改めて感じました。

その後、5日間ほどは連続して「心房細動の疑い」の通知が続けてありましたが検査を受ける2日前に再び洞調律に戻りました。

④総合病院での2回目の受診

総合病院での2回目の検査はホルター心電図の装着と行動記録表の記載で、半年前に行ったものと同様でした。

検査の翌週、診察でホルター心電図の結果を聞いたところ、特に問題のある波形は確認できなかったとの事でした。

ただ、検査直前にApple Watchで「心房細動の疑い」の通知が5日間ほど継続していた旨を伝え、買い替えたApple Watchで心電図の測定ができていたことを伝えると、その場でiPhoneから心電図波形を確認してもらう事ができました。

20回ほど測定した心電図で心房細動と判定された波形を確認してもらいましたが、先生の見立てでも心房細動と思われる波形とのことでした。

半年に一回「心房細動」が発生しているため、私の発生頻度はこれが一つの指標となりました。

この発生頻度が短くなっていき、常に発生するような状態となると「持続性心房細動」になっていくとの事でした。

今後、この心房細動の発生頻度にもよるが、薬による治療、もしくは手術による完治を目指すか説明を受けました。

薬による治療は一時的な服薬で済む場合もあれば、継続して服薬することで完治を目指す方法もあり、体への負担も考える必要があります。

また、手術による治療は入院が必要ではありますが、私が選択した「カテーテルアブレーション(経皮的心筋焼灼術)」は「発作性心房細動」などの初期段階であればこの記事執筆時点の先生のお話では完治する確率は最大で80%程度、手術によるリスクも1%以下の手術で入院期間も3泊4日と短期間で退院することもできます。

www.shinbousaidou-navi.com

金銭的な負担も保険適用の手術のため、高額療養費制度で所得に応じた自己負担制限が適用されます。

www.mhlw.go.jp

これが「持続性心房細動」等になった場合は完治する確率が低下していく事となります。

カテーテルを使用した手術のため、胸近くを切り広げる必要もなく、カテーテルを入れる部位も、私の場合は両足の付け根と、右鎖骨の下あたりの3か所のみで、傷自体も術後一か月程で、ほとんど分からない程度になりました。

先生としては「発作性心房細動」の初期段階であることを考えると、継続的な投薬治療より、手術での完治を目指した方が年齢的にも、生活への負担(通院回数や金銭面などを含めて)にも良いとの事でした。

カテーテルアブレーションについては、インターネットにも情報は沢山あるので、調べてもらって家族とも相談の上、2か月後の次回検査時に手術を選択するのであれば日程を決めていく、ということで終わりました。

⑤心房細動の発生間隔が短くなる

その後、次回の検査までには「心房細動の疑い」の通知は来ないかと思っていましたが、1か月後に再度Apple Watchから「心房細動の疑い」の通知がありました。

前回は約半年の発生間隔がありましたが、今回は1か月程しか間隔が開きませんでした。

前回の検査後にネットの情報を確認し、家族とも相談して手術を行う方向で検討していましたが、ここまで一気に間隔が短くなったことも考えると、手術後の完治の確率を考えてもなるべく早期に手術をした方が良いだろうと決心しました。

心房細動の通知があった翌日、たまたま担当医師の勤務日だったため、あらかじめ病院に電話連絡をして受診させてもらいました。

自覚症状等は特にありませんが、発生間隔や決心もあり、手術日程を相談させてもらいました。

⑥手術を計画・手術前検査

手術自体は3泊4日の入院期間中のうち、2日目に全身麻酔で眠っている間に3~6時間程で終わるとのことですが、手術前に各種検査をする必要があります。

手術1か月前ほどに「造影剤CT検査」を行い、心臓や各血管の構造を撮影し、具体的な手術方法を検討します。

また、手術時に血栓をできにくくし、脳梗塞等の重篤な症状を防ぐために、血液をサラサラにする薬として「イグザレルトOD錠」を処方されました。これはこの手術日程を決めた日より、一日一錠を服用し続けます。

私は手術前に「造影剤CT検査」「造影剤CT検査結果を踏まえた診察」「入院前面談」の計3回通院を行いました。このあたりは病院によって通院回数は変動するかと思いますので各病院に確認しましょう。

www.aichi-med-u.ac.jp

造影剤CT検査

造影剤CT検査はCT撮影を行う際に「造影剤」という薬剤を静脈に注射して行う検査で、注射針をセット後にCTでテスト撮影を行い、問題が無ければ「造影剤」を投与してそのまま撮影を行う流れでした。

造影剤を投与される感覚は股関節周りに一気に生暖かい液体が体内で循環し始めたような感覚であまり気持ち良いものでは無かったです。

かゆみや吐き気、蕁麻疹等の軽い副作用が100人に1人程度に発生する場合もありますが私の場合は検査後にほんの少し軽い気持ち悪さが出ましたが、すぐに収まり問題はりませんでした。

他にも重篤な副作用が出る可能性もものすごい低い確率で発生したり、腎機能に問題がある方はそもそも造影剤の投与が行えない場合もあるので、そのあたりは担当医師とよく相談をしてください。

造影剤CT検査結果を踏まえた診察

造影剤CT検査で撮影した心臓周辺のCT画像

上の画像の薄ピンク色の中央下の袋状の物が左心房で、心房細動の原因と思われる肺静脈は全部で4本あり、左上から出ている2本と右上から1本、さらに重なるように横に通過している赤い血管の裏にもう1本の肺静脈が抜けているとのことです。

CT検査の結果、私はカテーテルの先で心筋を一か所ずつ加熱していく手術方法がとられました。他にもバルーンアブレーションといった手術方法もありますが、私の肺静脈の形状がくびれており、そこに合わせてバルーンアブレーションで焼却した場合、くびれている個所の血管が狭まる恐れがあるため、採用されませんでした。

また、手術前の各種検査を受けている期間では「心房細動の疑い」通知が全部で2回ありました。Apple Watchで心電図を測定しても、やはり心房細動と思われる不整脈が発生しているのが分かりました。

2か月程度で2回、5日間ほどで洞調律に戻るため、確実に発生間隔が短くなっている状態ですが、自覚症状が無いので、体調として辛いという事はありませんでしたが、漠然とした不安がある精神状態だったと思います。

この診察より胃酸の量を減らすタケキャブ錠という薬の処方も併せて始まりました。

心臓と食道は隣接しているため、カテーテルアブレーション手術で食道に炎症等の症状が現れることがあり、胃酸の逆流を抑えることで炎症の悪化を防ぐとのことでした。手術中は食道側にも温度センサーを入れて加熱時に熱くなりすぎないように施術はしてもらえます。

手術が確定したため、翌週に「入院前面談」として入院前の準備として胸から下の剃毛のお願い(しなくても入院後に行ってくれるそうですが、協力してもらえると助かるとの事)、準備する必要のあるものの確認、全身麻酔での手術となるため麻酔科の先生からの説明、高額療養費制度利用のためマイナンバーカードの読み取りなどの手続きを行いました。事前に申請書類を提出して証明書などを取得しなくても制度が利用できるようになったのがマイナンバーカードを発行して一番良かったと思いました。

手術直前に再度「心房細動の疑い」の通知があり、心房細動の状態のまま入院へとなりました。

記事が長くなりましたので次回は入院編を投稿したいと思います。

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注意:この記事の内容は筆者の体験談です。実際の医療行為については主治医とよく相談の上、自己判断で行ってください。

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